暗黒伝説の復活
ゴロワノフの四大怪演といえば、一八一二年、展覧会の絵、ボロディンの二番、悲愴、と相場は決まっていますが、その四曲が今回まとめてCD化されました。ハラショー。
- チャイコフスキー:一八一二年
- チャイコフスキー:交響曲第六番
- スクリャービン:交響曲第一番
- ボロディン:交響曲第二番
- ムソルグスキー:禿山の一夜
- ムソルグスキー:展覧会の絵
ニコライ・ゴロワノフ指揮モスクワ放送響
(VENEZIA, CDVE00008)
これでもかというくらい強烈濃厚なラインナップのなかでスクリャービンの一番だけが若干インパクトに欠けるでしょうか。これがワーグナーかグリーグだったらある意味云うことなし、だったのですが。
CD一枚目のチャイコフスキーは、BOHEME MUSIC盤と同一内容。ヴェネツィアは復刻音質の良さに定評のあるレーベルですが、ボエーム盤で気になった強音部の歪みが少しばかりマシになっている一方で、神経質なくらいノイズをカットしているため、生々しさ(お下劣っぷり、ともいう)が、これまた少しばかり、後退しているような気がしないでもありません。ただしボエーム盤をわざわざ探す必要まではありますまい(ついでながら「一九四八年〜五三年」という ARCHIPEL 並にアバウトな録音データも実に遺憾)。
それ以上に問題なのが三枚目のボロディンとムソルグスキーで、これは全体的に音質がイマイチです。マルチソニックの復刻が最悪だったボロディンはともかくとして、展覧会の絵は、率直に申し上げてSEVEN SEASの国内盤より随分落ちるなあと思いました。もしかしたら別演奏なのかもしれませんが、ンな演奏をふたつ続けて聴いたら発狂しそうなので比較はできません(^^;
それでも、久しくカタログから脱落していた展覧会の絵とボロディンが復活したのは喜ばしいです。何も自分が野獣になる必要はないとしても、たまにゃーゴロワノフでも聴いて、少しくらい自分の内なるアニマル・スピリッツをかきたてるくらいのほうが生きていて張り合いもあるというものではないかと。