2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第三の男

チャイコフスキーの第五交響曲といえばチェリビダッケとムラヴィンスキーで決まりです。個人的には、チェリ様さえあればいい、といいたいところではありますが、ムラヴィンスキーを無視するわけにも行きますまい……このふたりの演奏は凄さが突き抜けすぎてい…

ティエリ・ド・ブリュノフ

青柳いづみこ女史の『ピアニストが見たピアニスト』では、チラッとですけど、コルトーの秘蔵っ子、ティエリ・ド・ブリュノフのことも紹介されていました。 ……『象のババール』で知られる童話作家ジャン・ド・ブリュノフの息子である。やはりコルトー門下でパ…

フーベルマンの楽器

以前こんなことを書いたので、自分でも気になって少々その辺の事情を調べていたところ、一九三六年のギブソン盗難は「リサイタル中、フーベルマンが舞台でグヮルネリウスを弾いている間」になされたのだそうです。それではギブソンはただ持っているというだ…

フレイタス=ブランコのラヴェル

ラヴェルが「楽譜通り」に弾かないカザルスに注文をつけて「演奏家は作曲家の奴隷だ!」と言い放った一件はひじょうにカザルスの心証を悪くしたのみならず、わたしたちが観念するところの作曲家像(肖像写真でお馴染みの醒めた眼差し、精緻きわまる人工楽園…

フランソワの綱渡り

フランソワは練習なんかろくにしなかったけど、興にのれば神がかり的演奏をした――というようなことがまことしやかに囁かれていますし、わたしなども何となくそう思い込んでいたのですが、彼とて練習しなければそれなりにしか弾けなかったし、練習をすればし…

フランソワのショパン/バラード第四番

フランソワのバラードというとまず一九五四年の全曲盤を思い浮かべる方が多いかと思いますが、その二年前にも第四バラードが正規に録音されています。最初の録音は、微妙にゆらぎつつも流れのよい好演。予想もしないところを囁くようなピアニシモで弾いたり…

ミトロプーロスのマーラー/第六交響曲(承前)

ニューヨーク盤は、ポジティヴなエネルギーに満ち溢れた演奏です。この曲でポジティヴというのも何だか妙な話ですが実際そうなんだからこう書くより仕方ない。オケの上手さが際立っています。楽曲に対する不慣れから来る逡巡を全く感じさせません。ソロをと…

ミトロプーロスのマーラー/第六交響曲

ミトロプーロスがニューヨーク・フィルを振ったマーラーの第六交響曲(一九五五年ライヴ)がARCHIPELからリリースされました(cf.→HMV)。火星人の指揮する同曲は、一九五九年ケルン放送響とのライヴ(わたしの手持ちはARKADIA)が名演として夙に知られてい…

曲と演奏についてはノーコメント

NHKのBSで、ブーレーズの自作演奏会が放映されました。オケはルツェルンの音楽祭アンサンブル。コンミスのお姉さんの笑顔に萌えました。ほかにもきれいどころがちらほらと……色ボケ*1アバドのシュミでしょうか。本人及び愛人の音楽性にはまるで感心できないけ…

ピリオドと名のつくやつはどうも……

ハードディスクのコヤシを消化するのに必死な今日この頃、つづいて視聴しましたのは井上道義とオーケストラ・アンサンブル金沢のベートーヴェンです。指揮者も、オーケストラも、まともに聴くのは今回がはじめてでした。世にいうところのピリオド・アプロー…

チャイコフスキーつながりで

DVDレコーダーに埋もれかけていたジャニーヌ・ヤンセンとN響の共演を聴きました。これまた昨年のライヴで、指揮者はエド・デ・ワールト。同国人コンビですね。これまではCD屋さんの店先でCDジャケットをみかけたことくらいしかない人ですが、こうして映像で…

キリル・ゲルシュタイン/デュトワのショスタコーヴィチ

これも昨年末のN響定期で演奏されたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第二番を視聴しました。ソリストはキリル・ゲルシュタインという初めてその名を目にするひとです。まだ三十代の若いピアニストですけど額から頭頂部にかけて天才の刻印が……(これは余談)…

ルガノのチェリビダッケ

ずいぶん以前のことですが、チェリビダッケがスイス・イタリア語放送管を指揮した映像(cf.→HMV)がリリースされました。一九七五年のライヴで、曲目は古典交響曲、マ・メール・ロワ、ベートーヴェンの第七交響曲、というチェリ様の十八番揃い。画像の揺れや…

中年の夢いまいづこ

昨年末N響の定期公演にアラベラ・美歩・シュタインバッハーが登場してチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾きました。各所での評判がけっこう良いので、録っておいたビデオをたのしみに視聴したのですが――エルマン命のアナクロ野郎のいうことと思って割…