Old Masters
リヒテルが弾くガーシュウィンのピアノ協奏曲がHAENSSLERから出ました。このCDについて「こんなのジャズじゃない」という非難の声が一部から寄せられているようで、それも一見もっともなのですが、当のリヒテルはこんなことをいっていたとご紹介しておきまし…
昨年の聴きおさめはエネスコの無伴奏、新年の聴き初めはチェリビダッケ/フランス国立放送管のヨハン・シュトラウスでした――ハイ、相変わらずでございます。こんな調子で、更新のペースもあまり上がらないと思いますが、今年もよろしくお願い申し上げます。さ…
タワーレコードから復刻された、ホルショフスキのNONESUCH録音集成を聴きました。このピアニストがカザルス・ホールのオープニング・コンサートのために来日してベーム以来の熱狂を引き起こした一九八七年前後、年齢でいえば九十四歳から九十八歳にかけての…
ふだんはあまり聴かないヴァントですが、馬鹿みたいな廉価に思わずポチってしまいました(^^;六十代と、指揮者としてはまだこれからという時期の演奏ということもあってかスケール感は控えめですが、いくら強奏してもまったく雑味がまじらないブラスのユニ…
やっと手元に到着しました、フランソワ箱。*1最近はCD十枚のボックス・セットなどごく当たり前のように出ているのでそれくらいでは驚きもしませんが、さすがに三十六枚分のズシっとくる重みにはシビれますねえ……カラスの七十枚組以来でしょうか(^^ ;もひと…
『ロシア・ピアニズムの系譜』でも絶賛されていたサンヴェル・アルーミアンのプライヴェートCD*1が裏青でリリースされるようです。http://www.aria-cd.com/arianew/shopping.php?pg=54/54newcdr露骨にも程があるデジタル・コピー。すなおに喜んでいいことで…
ごぶさたしております。 更新もサボりたおしてボーっとしていたら、うれしいニュースが。http://www.hmv.co.jp/product/detail/3906661フランソワのEMI全録音+αです。わたしもこのうちCD二十七枚分は所持しているのですが、ほかに九枚分未聴ものがあるのか…
……というと、チャイコフスキーかショスタコーヴィチを思い浮かべる向きが多いであろうと思いますが、ベートーヴェンの第五もそれに優るとも劣らぬ、ムラヴィンスキーならではの境地をいまに伝えるものです。この巨匠の常で同曲異演が複数あり、なかでは唯一…
(コルトーのほうはちょっとひと息……)ブルックナー指揮者はマーラー振りたりえず、その逆もしかり――なんてことが世にいわれますが、その伝で、ハイドンとモーツァルトも両立しがたいレパートリーらしいです。いわれてみれば、とまず思い浮かぶのはフルトヴ…
すでにご紹介したブリュショルリのエジプト風をinaのサイトで聴きましたが、以前に触れたDOREMI盤と比較して良くも悪くもよりライブらしい演奏――というのがわたしの印象でした。エキサイトする場面での崩れはより甚だしくなり、ここでピアノは主役じゃないん…
某巨大動画サイトに、ユーラ・ギュレールのリストのソナタが上がりました。わたくし、ギュレールの芸術を賛仰することにかけては人後に落ちないつもりですが、五十年代半ばのデュクレテ・トムソン録音と七十年代のエラート/ニンバス録音とでは天と地ほども芸…
コレを買わないと聴くことのできなかったヘンリク・シュトンプカのマズルカを某巨大動画サイトで視聴することができます。作品番号付きの曲は全て公開されており、*1いい時代になったもんだとつくづく思いました(例によって直接リンクを張りませんがあしか…
inaのサイトはサーバーか何かに問題があるものとみえて、"Paul Paray"と打ち込んで検索しても出てこなかったファイルが"Fauré"をキーワードで探すとヒットする、というようなことがままあります(後述)。検索エンジンの精度が低いのでしょうか。 パレー/ベ…
ご存知、エクサン・プロヴァンス音楽祭のオペラ上演です。指揮はロスバウト、管弦楽はパリ音楽院管。音盤化すればそれなりにセールスを期待できそうなものですから、全曲聴けるものがあるだけでも太っ腹というべきでしょう。 ラモー:歌劇≪プラテー≫(全) …
フランス国立放送管といえば、創立者のアンゲルブレシュトを忘れてはいけません。 動くアンゲルブレシュト(動画) あの長い指揮棒をぶら下げて、裾から舞台の中央へ向かい、タクトを悠然と振り下ろし――たところでカメラが切り替わってしまうのに愕然。肝心…
今回は協奏曲篇です。 マルクジンスキ/ブラームスの第一協奏曲(全) ショパンでもラフマニノフでもなく、なぜかブラームスが一曲だけ。 アニー・ダルコ、ツィピーヌ/メンデルスゾーンのイ短調協奏曲(抜粋) この人、メンデルスゾーン以外何弾いてたんだろ…
続きです。 ホーレンシュタイン/モーツァルト:交響曲第三十九番(全) ホーレンシュタイン/ブラームスの第三、死と変容(後者の冒頭のみ) ホーレンシュタイン、シュタルケル/ドン・キホーテ(全) ホーレンシュタイン/マーラーの第九(抜粋) 当然といえば…
ツィピーヌの音源は一通り浚ったつもりでしたがとんでもない。まだまだ出てきました。やった!……と双手をあげて喜びたいところですが、最初の十分しか聴けない演奏がやたら多いのでうれしさも半分といったところ(^^;○全曲録音篇 ハイドン:太鼓連打 ≪泥棒…
inaのサイトで面白そうな音源をリスト・アップしています。サイトの説明によると公開されている音源の八割は全曲をストリーム再生できるとありますが、テキも商売ですからね、その辺はぬかりなく、わたしが聴いてみたいなあと思ったものにかぎって最初の十分…
ティボーを褒めたつもりで「これぞフランスの音、パリのエスプリ」と抜かすバカがいます*1が、これは実際のところ何もいっていないに等しいわざです。なぜといって、当時のフランスにもたくさんヴァイオリニストはいましたが、ティボーのようなヴァイオリニ…
コルトーのシューマンの第二ソナタを発見したときをも超える衝撃です。先日、ネットサーフィンしていたらフランソワに対する深い思いにあふれたあるサイトにたどり着きました。そこで紹介されていたのが、フランソワがバルトークの第三協奏曲を弾いている音…
そのかわり――といっては何ですが、フランソワのワルツはいいですね。彼の持ち味もマズルカ以上に生きていると感じます。四分以上かかる第八番みたいに異様なナンバーもありますが、それもアクセントだと思えば……(^^;なんといっても印象的なのは別れのワル…
これまで、あまり気に入っていなかったフランソワのマズルカを久しぶりにまた聴いてみたのですが、ひとつだけ分かったことがあります――グレアム・グリーンが自作を"Novel"(たとえば『情事の終わり』)と"Entertainment"(『ヒューマン・ファクター』など)…
コルトーによる遺作変奏曲の配置を直接下敷きにしていると思われるのが、ソフロニツキーとジャン=フィリップ・コラールです。ただどちらも微妙にコルトーとは違う。ソフロニツキーは遺作変奏曲の第三をカットしていますが、これに関してはコルトーも入れると…
しかしながら、コルトーの演奏でもっとも問題となるのは、エチュードの第七(Allegro molto)と第八(Sempre marcatissimo)のあいだに挿入された遺作の第二変奏曲(Meno mosso)と第五(Moderato)でしょう。まず、二曲の遺作変奏曲の並びがひとつの発明と…
遺作変奏曲の演奏史はコルトーを以てその嚆矢としますが、わたしが最初に聴きなじんだ交響的練習曲のレコードもこのピアニストの一九二九年録音でした。これがいわゆる刷り込み盤になっているので、こういう曲だと思って何気なく聴いてきた面があるのですが…
シューマンの交響的練習曲には、遺作変奏曲と総称される五つの断章があります。作曲家本人が書いたはいいものの、推敲の過程で本編に含めることを断念した曲たちですが、無視してしまうには惜しい美質を含むため、コルトー以来それを本編とともに演奏するピ…
(承前)一九五五年ライヴでは、同じ指揮者と組んだショパンの第二協奏曲もそうでしたが、「攻め」のハスキルを聴くことができます。コジャレたクの字の棒に対する反撥なのかしらん……というのは冗談として、彼女にかかる一面もあったことは記憶にとどめてお…
ハスキルが弾いたベートーヴェンの第四協奏曲には六つの同曲異演があります。モーツァルトのニ短調協奏曲と比べたら半分くらいなものですが、それでもけっこうあるなあ、というのがわたしの印象。二回スタジオ録音している第三協奏曲よりおそらく多いし、実…
ブゾーニのヴァイオリン・ソナタ第二番には、シゲティとハスキルによる、録音がのこされたことを神に感謝したくなるような夢の共演があります。ブゾーニの音楽の高貴な美しさがストレートに伝わってくる魔法のような演奏で(その点ロスタル盤には、良くも悪…