ina.fr がスゴすぎる件について
コルトーのシューマンの第二ソナタを発見したときをも超える衝撃です。
先日、ネットサーフィンしていたらフランソワに対する深い思いにあふれたあるサイトにたどり着きました。そこで紹介されていたのが、フランソワがバルトークの第三協奏曲を弾いている音源です。掲載されているのはハスキルやブリュショルリのCDでもおなじみのINAのウェブ・サイトで、全曲を通して聴くことができます(別途有料でMP3ファイルをダウンロードすることができるらしい)。これは、まあ、復刻されない理由も何となく分からぬでもない、という演奏でしたが(^^;)、面白いサイトがあるんだなあと思って記憶にとどまりました。
しかしながら、このサイトの情報量たるやこれは面白いどころの話ではないぞ、と思い知らされたきっかけは、来月スカパーでスタニスラフ・ネイガウスの映像が放映されるという情報をコメント欄で頂いたことでした。某巨大動画サイトでも一部視聴することのできる*1それらの映像はパリで収録されたものなので、ひょっとしたらINAのサイトにあるかも、と思って検索してみたのです。
残念ながら、探し物の映像はみつからなかったものの、そのかわり、想像だにしなかったとんでもない音源がありました――スターシクの弾くラフマニノフの第二協奏曲です。一九七三年、四十六歳のときのライヴ録音で、管弦楽はスヴェトラーノフ/フランス国立放送管。
これを聴くまでは死ねない、とまで思いつめていたラフマニノフ、きのうの真夜中から狂ったようにリピート再生して飽きることを知りませんが、この発見に味をしめてサイト内検索をしてみると、出るわ出るわ。とんでもないことになっています。
録音がいっぱいありそうだとにらんでいたルフェビュールやカトリーヌ・コラールの音源は残念ながら見つかりませなんだし、ジャノリやブリュショルリも辛うじて一曲が公開されているのみですが、その一曲がとびきりの極め付けで、前者はパレー/フランス国立放送管と共演したシューマンの協奏曲、後者はサン=サーンスのエジプト風(もっとも、これは別演をDOREMI盤で聴くことができます)。ティエリ・ド・ブリュノフのショパンの第二協奏曲やフェヴリエ/ロザンタールのオーバードなんてのもあり、これから聴くのが楽しみでなりません。
しかし、何といっても圧巻なのはチェリビダッケ/フランス国立放送管の録音でしょう。アーカイヴにある限りすべてが公開されているのでは、と一瞬錯覚するくらいの椀飯振る舞いで、収録されたもののここでは公開されていないレパートリーを挙げる方がよほど手っ取り早いです。*2ルーセルの第三交響曲は日付の異なる二種の録音があるし、未完成交響曲などについても同様。例のCeLISTでも掲げられていたハイドンの百二番や田園交響曲*3、魔弾、スペイン狂詩曲をこうして聴くことができるようになるとは……!!
わたしがもっとも聴いてみたかったマ・メール・ロワは、残念ながらストリーム再生で聴くことができるのは最初の二分少々のみでしたが、チェリビダッケ/フランス国立放送管コンビの精髄ともいうべき超絶名演のローマの松は、全曲を通して聴くことができます。蔵出し音源だけのことはあり、ARTISTS盤のモヤモヤした音とは比較にならない鮮明さ。音質を確認するだけのつもりが、演奏のあまりの素晴らしさに圧倒されて、最後までそのまま聴きいってしまいました。
音源探索の途はまだ端緒についたばかりで、これからどんな演奏にめぐりあうことができるか――そして、あれもこれもダウンロードしないと気がすまない、となったら、と思うと、楽しみなような、恐ろしいような……