チェリビダッケとフランス国立放送管(四)
(まだ続く)
ドヴォルザークのチェロ協奏曲もけっこう同曲異演があるはずで、同じフルニエ/ORTF管とはスタジオで映像収録も行われています。わたしが聴いたことがあるのはマヒュラ/ベルリン・フィル、デュ・プレ/スウェーデン放送響、シフ/ミュンヘン・フィルの三種で、当ライヴは結構昔からARLECCHINOなどでリリースされていた演奏なのですが、わたしは今回が処女聴です。
チェロ付き交響曲として聴く分にはミュンヘン盤に格別の興趣があります(シフのチェロだって決して悪くありません)が、ソロ、指揮者、オケの三者それぞれが気合の入っているこの演奏もきわめて充実しています。フルニエは「おフランス」していないのが何と言っても好ましいです。クリュイタンスのようなバッタモノとは違い、媚のない真の意味での気品があって、しかも線の勁い独奏でした。
ただ、驚きや啓示といった要素を求めるのは筋違いであろう、という意味でこれはフツーに良い演奏で、聴衆の反応もベートーヴェンの七番のときのような忘我恍惚状態ではなく、快い満足感があらわれたものとなっています。
それにしても、WME盤は例によって編集ミスが気になります。聴いていないので何ともいえませんが、おそらくARLECCHINO盤にはこういうデジタル・コピーの失敗による音のズッコケだの何だのはなかったはずなので、商品価値としてはどうなんでしょう。
第一楽章 | 第二楽章 | 第三楽章 | |
フルニエ/ORTF | 14:43 | 10:50 | 11:35 |
マヒュラ/BPO | 14:45 | 12:19 | 11:44 |
シフ/ミュンヘン | 17:08 | 13:50 | 14:41 |
(参考)フォイアマン/タウベ/ ベルリン国立歌劇場管 | 12:06 | 10:33 | 10:31 |
例によって参考にならないですな……