私的十大レーベル(八)

METEORとくればAUDIORですな。METEORとほぼ同じような理由で「緑」と略称されます。

さて、わたしがチェリを聴き始めたころ、実はMETEORはもう休眠状態でした。リアルタイムに出ていたのがAUDIORです。そういうわけで紫が新宿でミッドプライス(+α)だったのに対して渋谷のタワーでは緑がフルプライスでした。だから、最初はあまり買えなかったです。チェリが亡くなったあと、実は「赤」といわれるジャケットが赤いヴァージョンのCDが出たのですが、これなんか一枚も持っていません(……もっとも、中身の多くが紫の復刻らしく、曲目的にも目新しいものではなかったためでもあります)。

だから、わたしの手持ちの緑の三分の二は、前世紀のどんづまりに突如秋葉原石丸電気で復活叩き売りされていたものです。残念なことに赤は店先でみかけず。

さて、チェリ教徒は大雑把に言えばシュトゥットガルト派とミュンヘン派とに分派しています。METEORの遅いものばかり選んで聴いたわたしが後者に属することは言うまでもありますまい。そこにAUDIORはリスボン・ライヴだのドヴォルザークのチェロ付き交響曲だの何だのをこれでもかといわんばかりに投入してくれました。いまのわたしの八十パーセントくらいがこうして形成されます。

とかいいつつ、緑のシュトゥットガルト放送響を指揮したロンドンとジュピターを今聴いていますが、これが実にすばらしいです。

前者はEMIの正規盤以上(ヘルクレスザールで映像収録されたミュンヘン・フィルのライヴも良かったのですが、VHSのテープを無くしてしまいました……)、後者はベルリン・フィルの創立百周年記念演奏会に呼ばれた(そりゃ、声もかけず、というわけには行きますまいて……)チェリ様が「これを振る」と強硬に主張したもんだから結局客演自体がお流れになってしもうた――とかいう因縁の一曲です。面白くないわけがありません。