私的十大レーベル(九)
さて、ホンマにアメリカで作ってるのにアメリカでは売ることの出来ないCDを出している、あのレーベルを忘れてはいけません。
海の王者ことMUSIC & ARTSです。
さすがに「ワルター協会って言ったほうがシックリくるなあ」というほど年寄りではありません(それだったらチェリ様も生で聴けていたはず……)が、この道に目覚めたか目覚めないかの頃からお世話になってました。ながーい付き合いです。
昔話をすれば、とにかく音の悪いレーベルでした。ハイ上がりのキンキンしたお下劣な響きには悶絶させられたものです(たとえばコルトーの七十八回転ものとか)。
だけど、シゲティとハスキルのブゾーニとか、なんとも凄まじいものを出してくるあたりが老舗の底力で。
ある頃から音質面で著しく聴きやすくなったのはご同慶の至りです。少なくともお下品ではなくなりました。
ここのCDで貴重なのは何といってもコルトーとカザルスの一九五八年ライヴです。最近、「フランスでは売れない」という新たなスキルを開発したみたいですね(逆にアメリカでは結構商売できるようになったらしい)。
(余談)
そんなM&Aですが、なんとドイツの放送局相手では正攻法の交渉をして、クレンペラー、チェリ様、シューリヒト等のライセンスCDを出しています。
それで気付いたのですが、ドイツの放送局っていかにもお堅そうだけど、何のかのと言ってやさしい、というか「文化事業」に理解があるんだろうなあ――と。ALTUSとかDREAMLIFEのような東洋の小レーベルのことを相手にしてくれるくらいですもんね。
逆にいえば……