たまには新譜ネタ

テンシュテット/ロンドン・フィルブルックナーの第七交響曲を聴きました。

この直前に凄絶な東京のワーグナー・アーベントのDVDに圧倒されたばかりということもあるでしょうが、少し期待しすぎたかなあ……

これはテンシュテットの芸風からいえばある程度予想のつくことなのですが、メロディー・ライン重視で対位法的な立体感にはあまり関心がないように感じられました。曲が曲だからこういう演奏になったのかもしれないけれど、むしろこういう曲だからこそメロディーしかないように聞こえてしまいかねない危険があるようにわたしは思います。

忌憚なく云えば、多かれ少なかれ、表現のコントラストの弱さ(もしくはフォーカスの定まらなさ)を来たしています。音楽は良く流れるのですが、ちと流れっぱなしの観なしとせず、もう少し耳にひっかかるものがあれば――と個人的には感じました。部分的にはこの指揮者ならではの思い切った歌い込みがあるのですが、それが全体の脈絡のなかでもう一つ生きてこない憾みがあります。

まあ、録音が悪いからそう聴こえるのかもしれません。正規盤なのに響きがダンゴ状態で、ティンパニの遠さもここまで来ると立派なフラストレーションの種になります。

テンシュテットブルックナー自体はむしろ大好物の方で、第三、第四、第八、いずれも高く買っているつもりです。テンシュテットのためにも機会があったら同曲異演を聴いてみたいと思います。

……え、上岡の七番ですか?
最高の睡眠薬ですな。わたし、もともと寝付きが異常に良い方なので宝の持ち腐れです。