第一印象

HMVから荷物が届きました。ファルナディとシェルヘンの共演(TAHRA)から聴きはじめたところです。

バルトークの愛弟子として知られるファルナディをわたしがはじめて聴いたのはタシュナーと共演したベートーヴェンやラヴェル、ドヴォルザークのソナタでした(これもTAHRA)。特にベートーヴェンの三番が端正なタッチのすばらしい演奏で(これだけピアノが良かったらヴァイオリンはまあオマケみたいなもんでしょう)、師匠の衣鉢を継いだ名演と世評高いバルトークの協奏曲を聴いてみたいものと以前から切望していたところでした。

リストの協奏曲の一番は輝かしいトゥッティの響きで開始します。

しかし、「TAHRAとは思えない鮮度のあるリマスタリングだなあ……」と思ったのはほんの一瞬のこと。続くファルナディのピアノの音はまるでピンボケで、このレーベルの通弊としての過度なノイズ・リダクションが本来さぞや見事であったろうタッチの粒立ちをすっかり殺してしまっているのです。

DOREMIから出たリヒテルのブラームスの協奏曲で、ピアノはまあなんとか聴けるもののオーケストラの響きがペラペラでまるで立体感のないトンデモ復刻(名指揮者ジョルジュ・ジョルジェスクの棒であっただけに残念至極)がありましたが、今回のリマスタリングはまさにそれの反対ですね。

ソロをないがしろにしてでもオヤジの伴奏に焦点を当てるミリアムの大胆な愛情表現にまず度肝を抜かれた次第です。