マジですか

EMIからアイコン・シリーズというヒストリカル録音の企画モノが出ているそうですが今度リヒテルコルトーがラインナップに加わりました。前者は(たぶん)EMI録音の全集で、ベルクの室内協奏曲(最後に再発したのはいつの昔か……)のためだけでも必至というところ、≪ます≫やカガンとのスタジオ録音、ヘンデル組曲等々これまで何となく手がでないでいた録音を一網打尽に出来るので、個人的にありがたい企画です。

一方コルトーですが、客観的に見て悪くない曲目だと思います。CDの一枚目は仏REFERENCES時代から繰り返しリリースされてきた天下の名盤ですし、カザルス・トリオの全録音入選もまずは妥当。シューマンの独奏曲が全く入っていないのが不可思議といえば不可思議ですが、代わりにリストを入れるというのは見識のうちだと思います。これを足掛かりに買い足して行くことを考えればきわめてムダの少ないラインナップでしょう。

ここまでは穏当な選択なのですが、問題はフランス近代ものです。子供の領分が一九四七年録音というのは本当だとしたら随分凝ってますねえ(たしかに、これがベスト演奏かも)。前奏曲集はこれではいつの演奏か特定ができませんが何が来るのやら。

でもってCDの四枚目。


フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調Op.13
 ジャック・ティボー(ヴァイオリン)
 録音:1923年(モノラル)

これ、本当に一九二三年録音なんでしょうか。だとしたら未発表の初出音源ですよ(録音があるということ自体は聞き及んでいたのですが……)。

フランク、ドビュッシーフォーレという曲目は仏REFERENCES盤でもお馴染みの定番なので十中八九アレの焼き直しだとは思いますが、ヤノプーロが伴奏したベルスーズが外れるみたいだし、もしかしたらもしかするかもしれない……

アテにするほうがバカだとは思うのですが、EMIにはチョンボクライスレリアーナ再録音が初出というすごい前科(まさに怪我の功名)があるので期待せずにはいられません。



(後記)……こちらに書いた通り、コルトーのボックスは残念ながら全て既出の内容でした。その上復刻音質が劣悪で、とうてい人に薦められるようなシロモノではありません。ご注意を!