コルトーのディスコグラフィー(ショパン篇)

ショパン

  • ピアノ協奏曲――メンゲルベルクとの共演と、一九五四年の未発表放送録音(前述の通り)。

  • ピアノ・ソナタ第二番――三つの未発表音源(一九二七年/一九四三年/一九五六年)。一九五三年のHMV録音についてもHuntは未発表としていますが、これは新星堂からCD復刻されています(鈴木智博氏によれば、初出はFALP 376)。

  • ピアノ・ソナタ第三番――四つの未発表音源(一九三〇年/一九四二年/一九五六年/一九五七年)。ただし最初のは部分的録音とのこと。

  • バラード第一番――三つの未発表音源(一九四三年/一九五四年/一九五六年)。Huntは一九二五年録音について特に付記していませんが、いま現在聴くことができるのは曲の後半のみのはず(NAXOS, 8.111261)。無論録音自体は全曲通して行われていたのでしょう。

    ちなみに、マリク版で"Extant unpublished recordings"として言及されている一九五七年録音のバラード全曲*1については、Huntは全く触れていません(これはプレリュード集や『帰郷』についても同様)。

  • バラード第二番――二つの未発表音源(一九四三年/一九五六年)。

  • バラード第三番――第二番に準ず。

  • バラード第四番――同上。

  • 舟歌――未発表音源あり(一九五六年)。

  • 子守歌――二つの未発表音源(一九三三年/一九四三年)。一方、Hunt版では一九二三年ビクター再録音と一九五七年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)が記載洩れしています。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏は、Huntによれば、一九四九年録音。*2

  • 三つのエコセーズ――これは初出レパートリーですね。ふたつの未発表音源(一九四三年/一九四八年)。

  • エチュード――未発表の全曲録音(一九五四年)――ただし、黒鍵と蝶々の二曲のみ「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録されているとのこと。ちなみに、二十四曲を一日で録音してしまったらしいです(たぶん一回通しなんだろうなあ……)。

  • 黒鍵――Hunt版では一九五四年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)が記載洩れ。

  • op.25-2――Hunt版では一九二二年録音(BIDDULPH、LHW 014/15)が記載洩れ。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録されているのは、Huntによれば、一九五一年録音。

  • op.25-3――Hunt版では一九二二年録音(BIDDULPH、LHW 014/15)が記載洩れ。

  • 蝶々――同上。

  • 幻想曲――二つの未発表音源(一九四三年/一九五六年)。

  • 即興曲集――未発表全曲録音(一九四三年)。

  • マズルカ集――昔から噂になってるアレ。Huntによると録音年代は一九五七年だそうです。VENEZIA盤(抜粋)には「(?)1950」なんてすっとぼけたことが書いてありましたが……

  • ノクターン第二番――未発表音源あり(一九五七年)。Hunt版では一九五七年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)が記載洩れ。

  • ノクターン第四番――二つの未発表音源(一九四九年/一九五七年)。

  • ノクターン第五番――ふたつの未発表音源(一九五三年/一九五七年)。Hunt版では一九五四年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)が記載洩れ。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏は、Huntによれば、一九四八年録音(非常に細かい話になりますが、この演奏の録音月日をHuntは四月十九日としているものの、APR盤に掲載されたディスコグラフィーによれば二十日であるとのこと)。

  • ノクターン第七番――未発表音源あり(一九五七年)。

  • ノクターン第一五番、一六番――同上。

  • 七曲のポロネーズ――未発表の全曲録音(一九四三年)。

  • プレリュード集――四つの未発表音源(一九二七年/一九二八年に二度/一九五四年)。Huntによると最初の二回のうち何曲かは一九二六年録音の原盤差し替えでレコード化されているのだとか(そんなこと初めて知りました)。マリク版に記載されているop.28-12の一九二八年録音は、未発表音源の三番目のこと。

  • スケルツォ集――未発表の全曲録音(一九四三年)。さらに第二番には一九三七年の未発表音源もあり。

  • タランテラ――未発表音源あり(一九四三年)。マリク版には一九五三年録音の記載なし。いっぽう、Hunt版にある一九五四年録音はマリク版、『コルトーのレコード録音』のいずれでも言及されていなかったもので、その初出SPのレコード番号(DB 21492)は、鈴木氏によればシューベルトの十二のレントラー(※この曲だけでほぼ八分を要する)のレコード番号です。これはHuntの勘違いなのでは……!?

    さらにHunt版では何故か一九一九年録音(BIDDULPH、LHW 014/15)が記載されていません。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏は、Huntによれば、一九五三年録音。

  • ワルツ第三番――未発表音源あり(一九五一年*3)。

  • ワルツ第六番――ふたつの未発表音源(一九五〇年/一九五一年)。マリク版は一九五二年の日本録音(日BMG, BVCC37439:わたしの手持ちは新星堂盤)が抜けており、一方Hunt版では一九五七年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)が記載洩れ。一九四九年録音の月日をHuntは十一月十四日としていますが、鈴木智博氏によれば四日とのこと(これはHuntのケアレス・ミスのような気が……)。この録音は、Huntによれば、「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏でもあります。

  • ワルツ第七番――未発表音源あり(一九五〇年)。マリク版では一九二九年録音(※Hunt版で復刻CDの番号として掲げられているのはビクター・アコースティック録音全集のそれであって、当然、この演奏は収録されておりません)、Hunt版では一九五四年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)が記載洩れ。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏は、Huntによれば、一九五三年録音(これもマリク版には記載されていない音源ですが、『コルトーのレコード録音』では言及されています)。

  • ワルツ第九番――未発表音源あり(一九五一年*4)。マリク版は一九四四年の映像(EMI, DVB 50190096)、Hunt版は一九五七年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)の記載なし。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏は、Huntによれば、一九四九年録音。

  • ワルツ第十一番――Hunt版は一九五四年ライヴ(MELODRAM, CDM 18018)、マリク版はそれに加えて一九五二年の来日録音(日BMG, BVCC37439:わたしの手持ちはVENEZIA盤)の記載なし。「コルトー・ポピュラー・アンコール」に収録された演奏は、Huntによれば、一九四九年録音。

  • ワルツ第十二番――マリク版に一九五四年録音とあるのは、第十一番と錯覚したのでしょう。さらに一九五一年録音の記載もなし(わたしは未聴*5)。

    *1:この録音とおぼしき音源が復刻されました(WORLD MUSIC EXPRESS, WME-M-CDR-1354)。

    *2:ちなみにAPR盤の解説子は、ショパンのみいずれも一九五四年の録音としており、どちらの説が正しいのか、わたしには何とも申し上げかねます。

    *3:APR-5573 でCD復刻されているようですが、未入手のため確認できずにおります。

    *4:ワルツ第三番に同じく。

    *5:同上。