たまに映画のはなし

『堂々現役』という番組で岡田茉莉子のインタヴューをみました。ますますお元気なようで何よりです。

しかし、福田和也はインタヴュアーとしてあまりにも不勉強ですね。開口一番、バコールやバーグマンには自伝があるけど日本の女優さんには例がない、と抜かしよったのには怒り心頭。
そこで『わたしの渡世日記』が念頭に浮かんでこないようなバカに、邦画黄金時代の大女優と対談をする資格などあるか!!

全体に、質問が要領を得ていないから、岡田茉莉子のほうも今ひとつ本気になって答える気がしていないことは明々白々でした。ああ、勿体無い……

ということもあって(?)内容は、川本三郎の『君美わしく』所載の対談を少し薄くしたような按配。話のはしばしに吉田喜重が出てくるのが目新しいところでしょうか。一例をあげれば、彼女のデビュー作の『舞姫』をカントクが見たいと言い出したので、「ダメ!タイトルだけならいいけど」と返した、なんてハナシ。*1

これまで夫婦の話題についてはあまり知ることがなかったのですが、意外や(?)仲良し夫婦みたいでご同慶。夫婦でヴェネツィアに旅したときのこと、広場のオープン・カフェでカントクがいなくなったと思ったら流しのバンドが現れて、やおら彼女の大好きなラ・クンパルシータを演奏しはじめた――という身も蓋もないノロケ話までしまいには炸裂します。ここまで来ると笑っちゃうくらいキザだけど、「もぉ最高だったわ……」と思い出話に自分でウットリしているその姿を見ると、まあたしかにコレっておんな冥利につきるのかもなあ、と思ったり思わなかったり。

――で、最後に、のろけちゃって失礼、とシメたその口調は、まさしく『秋日和』でもお馴染みの、あのお茶目な茉莉ちゃんでした。

*1:結局はいっしょに最後まで見たらしい。自己評価は「なかなかやるじゃん、新人女優!」だったとか。