浦島太郎
ハードディスク・レコーダーの中身を調べていたら、木嶋真優さんという若いヴァイオリニストが「ヴィターリの」シャコンヌを弾いていました。
……この曲って、ヴィターリが作者ではなかったんだそうですね(「作曲者不詳」らしい)。今日の今日まで知りませなんだ。浦島太郎もいいところです。
「モーツァルトの」ヴァイオリン協奏曲第六番とか、「ハイドンの」セレナードとか、誰の作であろうとなかろうとすてきな音楽であることには変わりないものを、真作ではないと知れただけで途端に演奏されなくなってしまった曲がありますが、シャコンヌもまたその末路を辿ることになってしまうのでしょうか!?だとしたら悲しすぎます。
そういうわけで、若いひとがこの曲を弾いてくれていると思うとそれだけで何だかうれしいです。深い音で歌いこむ場面など、おっと思わせるところがあり、今後への期待をかきたてる演奏でした。これからも末ながくこの曲を弾きついでいってください。
……ただねえ。どーだっていいことだけど、わたしはもっぱらティボーで聴きなじんでいるものだから、ピアノの序奏には違和感がありました(^^;
某巨大動画サイトで調べたら、古い録音にも序奏つきのは意外と数多くあるようです(たとえばミルシテイン、ハイフェッツ)。うちにあるCDを引っ張り出したら、エルマンも序奏つきでした。一方、ティボーについては先刻ご案内の通り、他にもプシホダやオドゥノポゾフ、グリュミオー、デ・ヴィートといった面々が序奏をカットしており、当方のCD棚における多数派を形成している次第です。
しかし、誰が「序奏はない方がいい」と思いついたのやら、わたしには知るよしもありませんが、ヴァイオリンがいきなり切り込んでくるってのはインパクトがあっていい演出だよなあと改めて思いました。