フリーダー・ワイスマン
フリーダー・ワイスマンといわれてもご存知ない方が多いかと思いますが、骨董録音愛好家には、ヴォルフスタールのトルコ風やローゼンタールのショパンの第一協奏曲でよき引き立て役を演じている指揮者として、記憶にのこるひとです。
そのワイスマンが四十年のときを隔てて、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第一番で伴奏をつとめた一九七二年のライヴ録音を聴くことができます(むかし懐かしいANFライヴ・クラシック・100シリーズの二枚組CD)。オケはトリノRAI響、ソリストはグリュミオーです。
八十前(一八九三年生)というけっこうな高齢ですが、まこと矍鑠たるもので、下手くそなトリノのオケから明るく歯切れの良い響きを繰り出しています。曲も曲ですし、とりたててどうという音楽ではないのですが、要は、ワイスマンはワイスマンだった、と(笑)。その職人芸と長寿をことほぎ、あらためて上掲名録音における貢献に感謝したいと思います。
グリュミオーは、ティボーの弾いていないレパートリーをこの水準で聴かせてもらえたら、文句はいえないでしょう。
※……こんなページがあってびっくりしました。