思い出はうつくしく

朝比奈翁が一九七三年の東京討入りで指揮したブルックナーの第五を聴きました。一部では伝説のライヴと呼ばれているものだとか。

翁のブルックナーはわたしも何度か実演で聴いており、そのたび深い感慨を得たものですが、これはカタカナ発音のドイツ語みたような演奏で、アクセントがピシッと決まっていないから何となく締まりが悪い。九十年代、わたしがナマで聴いた翁のブルックナーはもっと峻厳な造形だった記憶があるのですが……