フー・ツォン
フー・ツォンは十年かそこら前、一度実演に接したことがあります。プログラムは、スカルラッティ、ハイドン、ショパン……あとシューベルトを弾いたでしょうか。手にものものしい黒いサポーター(?)を巻きつけており、聴いた印象でも、あまりコンディションは良くないように感じられました。ピアニストがやりたいことに指が追いついていないといいましょうか……印象もいまとなっては朧ろですが、アンコールで弾かれた、まるでノクターンのように響くショパンのop.25-7だけが記憶の奥底にいまもたゆたっています。
録音では、CBS録音のショパン珍曲集(幻想曲や幻想ポロネーズも入っていますが……)を聴いたことがありますが、これはよく考えられた演奏で、ライブラリの一枚として重宝なものです(もっとも、そんなに頻繁に聴くものではないかも)。
今回、ひさしぶりに聴いたフー・ツォンのディスクは、一部で喧伝されているベートーヴェンのピアノ協奏曲第四番です。一楽章だけで二十二分かかるというのが「売り」だとか(管弦楽はイエジー・スウォボダ指揮のシンフォニア・ヴァルソヴィア)。
(今日はここまで)